YesのVocal、John Andersonではダメなのか

プログレッシブロックというよりも、最近はアートロックやシンフォニックロックと言われるYesですが、メンバーがどんどん変わっていきます。ブリティッシュロックの宿命、メンバーチェンジはごく当たり前なことですね。イギリスは貴族の国ですから、プライドが高いからではないでしょうか。Vocalもメンバーチェンジを繰り返しています。Yesの顔であったJon Andersonが脱退したのは衝撃的な出来事でした。そこで今までのYesVoaclの遍歴と、作品を紹介します。

Jon Anderson

1968年に中心メンバーであるJon Anderson (Vocal)Chris Squire (Bass)でメンバーを集めてYesを結成します。『The Yes Album』(1971)『Fragile』(1971) 、『Close To The Edge』(1972)と、プログレッシブロックらしい組曲や複雑な構成、演奏力には圧倒されました。

  

次作Tales From Topographic Oceans』(1973)Jon Andersonはやらかしてしまいます。ヒンドゥー教の経典の本に影響を受けて作ったアルバムで、Rick Wakeman (Keyboard)が曲の長さや呪術的なサウンドに嫌気がさして脱退してしまいます。

後釜にローカルバンドで活躍していたスイス人のPatrick Moraz (Keyboard)を引き抜き、『Relayer』 (1974)を発表します。しかしPatrick Morazはこの1枚で脱退してしまいます。

またRick Wakemanを呼び戻して正式メンバーに復帰させます。Going For The One』(1977)、『Tormato』(1978)を発表したました。次のアルバムのリハーサル中にトラブルで今度はJon AndersonRick Wakemanが脱退してしまいます。

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Trevor Horn

Jon AndersonRick Wakemanが脱退し、新たに『Video Killed The Radio Star』の大ヒットで知られるThe BugglesTrevor Horn (Vocal)Geoff Downes (Keyboard)が加入します。このメンバーでスタジオアルバムDrama』(1980)を発表してツアーを行います。しかしがJon AndersonではないYesでは、観客動員数が伸びなかったのと、Trevor HornVocalに対する批判でTrevor Hornが脱退の意向を表明して活動休止になりました。

Jon Andersonの復帰

Chris Spuier (Bass)Alan White (Drum)が、南アフリカ出身のTrevor Rabin (Guitar)と新バンドCinemaを結成します。かつてYesに在籍していたTony Kaye (Keyboard)を呼び、デモテープを作成します。たまたまChris Spuierと接触があったJon Andersonにデモテープを聴かせると、Cinemaに加入する意向を示してそのままYesをして復活しました。アルバム『90125』 (1983)を発表し、シングルカットされた『Owner Of A Lonely Heart』は世界中で大ヒットし、アルバムも大ヒットしました。このメンバーは90125Yesとも呼ばれています。プロデュースは前VocalTrevor Hornです。次のアルバム『Big Generator』(1987)を発表して、ツアーを行います。ツアー終了後、またJon Andersonが脱退してしまいます。

Jon AndersonYesに在籍していたメンバーを誘って、もう一つのYesを作ります。JonAnderson のほか、Bill Bruford (Drum)Rick Wakeman (Keyborad) Steve Howe (Guitar)がメンバーです。Yesの名称使用はChris Spuier 側が所有していたため、Anderson Bruford Wakeman Howeと名乗ります。アルバム、『Anderson Bruford Wakeman Howe』(1989)を発表しツアーを行います。ライブアルバム『An Evening Of Yes Music Plus』(1993)を発表して大ヒットしました。

本家Yesは活動が止まったままでした。Anderson Bruford Wakeman Howeは次のアルバムを作り始めましたが、曲数が足りなかったためにTrevor Rabinに曲提供を依頼します。これがきっかけでYesのビッグバンド、Anderson Bruford Wakeman Howeと本家Yesが合流した8人編成のYesができます。アルバム『Union』(1991)を発表しますが、内容はAnderson Bruford Wakeman Howeの楽曲、本家Yesの楽曲、Steve Howeのソロ曲、Bill BrufordTony Levin (Bass)のセッション曲で、8人で演奏した曲は一切入っていませんでした。8人Yesでツアーを行いますが、ツアー終了後に脱退者が相次いつぎます。残ったのは90125Yesのメンバーでした。

その後はメンバチェンジを繰り返して、『Talk』 (1994)『Keys To Ascension』(1996)『Keys To Ascension2』(1997)『Open Your Eyes』(1997)『The Ladder 』(1999)『Magnification』 (2001)を発表します。そして2005年に活動を休止します。

Benoit David

2008年、Yesの結成40周年のツアーが発表されましたが、Jon Andersonが病気のためツアーはキャンセルになります。業を煮やしたChris Spuierは、Jon Andersonの回復を待たずにYouTubeで見たYesのトリビュートバンドに参加していたカナダ人のBenoit David (Vocal)を加えて、結成40周年ツアーを行います。Rick Wakemanの息子であるOliver Wakeman(Keyborad)がツアーに参加していました。スタジオアルバム『Fly From Here』(2011)を発表します。しかしアルバム制作前にOliverWakemanは解雇されて、Geoff Downesが復帰します。プロデュースはTrevor Hornでした。アルバム発表後にツアーに出て、ライブ盤『In The Present Live From Lyon』(2011)も発表されます。

Jon Davison

Benoit Davidが長年患っていた呼吸器系疾患が悪化して、Chris Spuierは解雇してしまいます。そして新たなVocalに、アメリカのプログレバンドのGlass Hammer在籍のJon Davisonを雇います。Jon DavisonGlass HammerYesの両方のバンドを並行して参加していました。しかし2014年になってYesのみに専念するためにGlass Hammerを脱退します。そしてスタジオアルバム『Heaven & Earth』(2014)を発表します。ツアーを予定していましたが、Chris Spuierが白血病のためにツアーには参加せず、代わりに『Open Your Eyes』(1997)Guitarで参加したBiily SherwoodBassで参加しました。その後、Chris Spuierは体調が悪化して亡くなってしまいます。Biily Sherwoodはそのまま正式メンバーに復帰となりました。

Chris Spuierが在籍していた頃に行ったライブ盤、『Like It Is – Yes At The Bristol Hippodrome』(2014)『Like It Is – Yes At The Mesa Arts Center』(2015)が発売されます。前者は『The Yes Album』(1971)『Going For The One』(1977)を、後者は『Fragile』(1971) と『Close To The Edge』(1972)完全再現するというコンセプトライブでした。Biilly Sherwoodになってからもこのコンセプトライブは行われ、『Tales from Topographic Oceans』(1973)『Drama』(1980)を完全再現したライブ盤、『Topographic Drama – Live Across America』(2017)も発表されます。このライブには、『Drama』でVocalを務めたTrevor Hornがゲスト参加しています。その流れから、『Fly From Here』(2011)Trevor Hornがミックスし直して歌った『Fly From Here – Return Trip』 (2018年)が発売されました。『Fly From Here』VocalTrevor Hornにすれば『Drama』(1980)発表時のメンバーです。

一方、オリジナルメンバーであるJon Andersonは、ソロ活動の他にRick Wakeman (Keyborad)とのコラボレーションで活動していましたが、2016年になって Trevor Rabin (Guitar)Rick Wakeman (Keyboard)を加えて新バンドを結成します。Yesの名義は使えませんので、Yes Featuring Anderson, Rabin, Wakemanと名乗り、ライブ盤『Live At The Apollo 』(2018)を発表します。ここでまた2つのYesが存在する形になりました。

本家のYesは50周年記念ライブを行い、ライブ盤『Yes 50 Live』(2019)を発表します。

Jon Andersonと同じスタイルのVocal

Jon Andersonの他にVocalを務めたメンバーは、Trevor HornBenoit DavidJon Davisonですが、全員がJon Andersonとそっくりな歌声です。Trevor Hornは、歌わせてみたらJon Andersonとそっくりだったという偶然はありました。しかしBenoit DavidJon DavisonYesのトリビュートバンドに在籍していました。Chris SpuierJon Andersonに似ているVocalを加入させたのです。それならば、YesVocalJon Andersonではダメなのか?という疑問が残ります。やはり長年一緒にやっていると、メンバー間の確執があるのだと思います。途中で勝手にYesを脱退したJon Andersonは加入させたくない、しかしYesVocalはオリジナルのJon Andersonに似ていないといけないという感じでしょうか。Jon Andersonのスタイル=YesVocalという定義がありますね。Yesのサウンドは幻想的でオリジナリティーがありますので、最初に大ヒットしたアルバムに似せたい意向があるのでしょう。

今後の展開ですが、また本家YesYes Featuring Anderson, Rabin, Wakemanが合体し、その後崩壊して違うメンバーのYesが出来上がるのではないでしょうか。

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