Tony Levin、Stickのみで加入しようとしていた?

King CrimsonStick Menで活躍中のTony Levinですが、80年代にKing Crimsonに加入した際は、Chapman Stickのみで加入しようとしていたのではないかと思います。なぜこの様な仮説が思い立ったかというと、曲によって使用する機材にかなり偏りがあるからです。80年代のKing Crimsonのアルバム収録曲の使用機材をまとめてみました。

Discipline (1981)

1、Elephant Talk

Adrian Belewの象の鳴き声のフレーズが印象的な曲で、Tony LevinStickでのリフから出来たと思われる曲です。Stickのみでプレイしています。

2、Frame By Frame

Tony Levinは8分音符形プレイヤーで、グルーブを大切にするプレイヤーです。最初のフレーズが16分音符でBassでは弾きづらいためにStickを使用したと思われます。Stickのみでプレイしています。

3、Matte Kudasai

ミドルテンポの普通の曲で、Adrian Belewのポップセンス重視の曲です。Bassラインはほとんどルートのみで、普通の曲のためにBassのみでプレイしています。しかしライブの時にStickのみでプレイしたこともあります。

4、Indiscipline

この曲も最初にリフはStickのリフで、Stick特有の和音を使っています。Stickのみでプレイしています。

5、Thela Hun Ginjeet

最初のGuitarのリフは、初期のAdrian Belewのソロアルバムの曲に使われています。また、Tony Levinはリハーサル時にBassで最初のSlappingのリフを弾いていたら、Bill Brufordが合わせて来たとインタビューで答えています。Adrian BelewGuitarのリフと、Tony LevinSlappingのリフを組み合わせた曲で、Bassのみでプレイしています。

6、The Sheltering Sky

Bassのみでもプレイ出来そうな曲ですが、あえてStickのみでプレイしています。Bill BrufordDrumを叩かず、木琴的な音がするPercussionをマイクで拾ってプレイしています。Drumが無い曲のため、Stickのアタックの速さが目立っている曲です。

7、Discipline

共作になっていますが、明らかにRobert Frippが作った曲と思われいます。この曲を表現したいために80年代のKing Crimsonを立ち上げたと言って過言はありません。Bassラインは16分音符の連続で、15/16拍子で弾いています。最後の方には和音を使っているため、Stickのみでプレイしています。Robert Frippはこの曲を重要視している様で、自身の会社もDiscipline Global Mobileと名付けています。

Beat (1982)

1、Neal And Jack And Me

難産の上に作られた2ndの最初の曲は、Stickのみでプレイしています。やはり16分音符がかなり出てきます。

2、Heartbeat

共作になっていますが、Adrian Belewが作った曲と思われいます。後のAdrian Belewのソロアルバムでも収録されています。Adrian BelewBeatlesのポップセンスに影響を受けています。この曲もAdrian Belewのポップセンスで作られた普通の曲です。Bassのみでプレイしています。

3、Sartori In Tangier

Stickのリフから出来た曲と思われます。和音奏法も使われれています。この曲はStick Menでも頻繁に演奏されています。余程お気に入りの曲なのでしょうね。Stickのみでプレイしています。

4、Waiting Man

和音奏法が使われているため、Stickのみでプレイしています。また、16分音符もかなりの頻度で出てきます。

5、Neurotica

このアルバムの中でも一番の難曲で、Stickのみでプレイしています。16分音符の連続です。しかもかなり早弾きになっています。

6、Two Hands

前作収録のThe Sheltering Sky』と同様に、Bill Brufordは木琴的な音のするPercussionのみで演奏しているため、アタックの強いStickのみでプレイしています。

7、The Howler

Adrian Belewのポップセンス重視の曲とアバンギャルドな部分を融合させた曲で、Stickのみでプレイしています。

8、Requiem

インプロビゼーション色が強い曲で、Stickのみでプレイしています。この曲をアルバムの最後に持ってくるのは、かなりの度胸がいると思います。

Three Of A Perfect Pair (1984)

1、Three Of A Perfect Pair

アルバムタイトルに使われた曲で、Stickのみでプレイしています。Adrian Belewのポップセンスから作られた曲です。90年代、2000年代のKing Crimsonでも頻繁に演奏されています。

2、Model Man

ミドルテンポの曲で、Adrian Belewのポップセンスで作られた曲です。この曲はStickKeyboardを使ってでプレイしています。

3、Sleepless

BassSlappingのリフにショートディレイをかけたフレーズから出来た曲で、Bassのみでプレイしています。Tony LevinSlappingは、弾くというよりも叩く感じで、そんなにSlappingは上手くありません。90年代のKing Crimsonでプレイする際は、Funk Fingersを使用してプレイしています。

4、Man With An Open Heart

Adrian Belewのポップセンスで作られた曲です。Bassのみでもプレイ出来そうですが、Stickのみでプレイしています。

5、Nuages (That Which Passes, Passes Like Clouds)

インプロビゼーション色が強い曲で、Stickのみでプレイしています。

6、Industry

こちらもインプロビゼーション色が強い曲です。この曲は特殊で、Keyboradをメインに4/4 + 4/5拍子のルート音のフレーズと、BassSlappingPullのみを使用してプレイしています。Tony Levinを除くStick MenのメンバーのPat MastelottoMarkus Reuterの実験的ユニットTunerでも取り上げられています。

7、Dig Me

この曲は異色の曲で、インプロビゼーション的な部分とAdrian Belewのポップセンスが融合した曲です。インプロビゼーション的な部分ではKeyboradStickのリフをプレイし、ポップ的な部分では、Bassでルート音のみでプレイしています。

8、No Warning

インプロビゼーション色が強い曲で、Stickのみでプレイしています。映像で発売された『Three Of A Perfect Pair Live In Japan』でオープニングで演奏されていますが、全くの別のインプロビゼーションです。そこではKeybordBassでプレイしています。

9、Larks’ Tongues In Aspic Part III

King Crimsonの代表曲の続編が収録された時は凄く嬉しかったです。ほとんどルート音のみのプレイでBassのみで時折Slappingを交えてプレイしています。後半部分のルート音は、Keyboradでプレイしています。

上記が80年代に発表されたKing Crimsonのアルバムです。Adrian Belewのポップセンス重視の曲や、Slappingのリフから出来た曲はBassでプレイしていますが、それ以外はStickの使用率が非常に高いです。80年代のKing Crimsonは最後までBassが決まりませんでしたが、StickのプレイでKing Crimsonのメンバーの座を射止めたと思います。

3枚のアルバム発表後、Robert Frippはメンバーに相談せずにKing Crimsonの解散を表明します。Tony Levinは自身の知り合いに『君たちのグループが解散してって聞いたけど本当?』と聞いて、ここで初めて解散を知ったそうです。

1993年にRobert Frippは、David SylvianとのユニットSylvian & Frippとしてを活動して『First Days』 (1993)を発表します。ツアーを回ってライブアルバムDamage』 (1994)を発表してこのユニットは幕を閉じます。このユニットはKing Crimson再始動にDavid Sylvianを誘い、断られて出来たユニットでした。Robert FrippKing Crimson再始動メンバーを発表します。80年代のメンバーAdrian BelewTony LevinBill Brufordの加えてSylvian & FrippのツアーメンバーでRobert Fripp主宰のGuitar Craft出身で、Stick奏者のTrey Gunn、同じくSylvian & FrippのツアーメンバーのDrumPat Mastelottoの6人体制となります。ダブルトリオKing CrimsonStick奏者が2人になりました。

ここではTony Levinは敢えてStickよりもBassを中心にプレイします。新しくUplight Bassも導入します。新メンバーでのアルバム、THRAK』 (1995)ではBassが無い曲もありますが、Bassがある曲は全てBassUplight Bassでプレイしています。ライブで80年代の曲を演奏する時のみStickでプレイすることになります。Stick専属プレイヤーTrey Gunnの加入でBassのみでプレイするTony Levinの潔さ、凄いですね。

次回のアルバムではPat Mstelottoが持ち込んだローランドのV-Drumを導入しようとRobert FrippBill Brufordに提案しますが、Bill Brufordは拒否します。そのため次回のアルバム作成の調査、分析、研究のためにProjeKctを開始します。その結果Bill Brufordは脱退表明します。またTony LevinPeter GabrielのツアーとSealのツアーが決まってしまったため、脱退では無く離脱します。しかしSealのツアーは無くなってしまったため、すでに活動開始をしたBill Bruford以外のメンバーのKing Crimsonには戻らずにTony Levinはソロ活動を開始します。この間もTony Levin『第5のKing Crimsonのメンバー』と呼ばれていました。

King Crimson『ConstruKction Of Light』 (2000)『Power To Believe』 (2003)を発表、ツアーをします。その頃にアナウンスされたのはTony Levinの復帰でした。Trey Gunnの参加は未定で、ツアー終了後に話し合いになるとのことでした。話し合いの結果、Trey Gunnは脱退を表明します。Robert Frippは留意し、Tony Levinの座であった『第5のKing Crimsonのメンバー』を提案しますが、これも拒否します。

ここで考えられるのが、Tony Levinへの敬意と、Stick奏者は2人いらないということではないか?とTrey Gunnの考えではないかと推測しています。また、90年代King CrimsonTony LevinStickを弾かなかった負い目もあったのではと思います。もしくはEddy Jobsonの新バンド、UKZへの加入がすでに決まっていたのかもしれません。

本当にKing Crimsonはメンバーの入れ替わりが激しいバンドですが、複雑な事情がありますね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です