David Bowieのベルリン3部作、Low、Heroes、Lodger

『Young Americans』(1975)でアメリカで成功したDavid Bowieですが、体はドラッグでボロボロでした。音楽的には、白人がいかに黒人の音楽を取り入れるか疑問を持ち、次のアルバムStation To Station』(1976)を発表します。このアルバムは、自身が主演した映画『地球に落ちて来た男』にインスパイアされて作っています。

この頃のDavid Bowieは、Thin White Duke (痩身の白人公爵)というキャラクターを設定します。ナチスドイツを擁護したり、ナチズムを意識したステージングを構成したりして、メディアからは危険な人物扱いされていました。ドラッグの影響だったのかもしれません。

新天地ドイツのベルリンに移住して、ドラッグと縁を切る生活とBraian Enoとのセッションで出来上がったのがベルリン3部作です。ベルリン3部作と言われていますが、全てがベルリンでレコーディングされたものではありません。『Lodger』(1979)はスイスとアメリカでレコーディングされています。この3部作はBraian Enoのプロデュースと思われていますが、Braian Enoは共演者でプロデュースはDavid BowieTony Viscontiです。曲作りはBraian Enoの影響が大きい作品でした。この頃のDavid Bowieは、ドイツのバンドのKraftwerkTangerine Dreamをよく聴いていたらしく、ジャーマンロック的なサウンドとなっています。

Low (1977)

重く、暗く、ヨーロッパ的な音作りが特徴で、2作前の『Young Americans』(1975)とは正反対のアルバムです。アルバム後半は全てインストゥルメンタルとなっていて、『David Bowieは言葉を忘れた』と言われたくらいに実験的です。Braian Enoとの共同作業で、無機質かつヨーロピアンな音作りです。全く今までの作品とは違ったアルバムでしたが、かなり売れた作品です。私はDavid Bowieのアルバムの中では、このアルバムが一番好きです。

1、Speed Of Life

2、Breaking Grass

3、What In The World

4、Sound And Vision

5、Always Clashing In The Same Car

6、Be My Wife

7、A New Career In A New Town

8、Warszawa

9、Art Decade

10、Weeping Wall

11、Subtleraneans

Heroes (1977)

前作 『Law』(1977)発表後、すぐに発表された次のアルバムで、音作りが非常によく似ています。Braian Enoは、このアルバムにはRobert FrippGuitarが必要とオファーを出します。しかしRobert Frippは、しばらくGuitarを弾いていないからと渋っていました。録音時には、Guitarを持って現れて『今やっているマテリアルを聴かせてくれ』と一聴し、Guitarをオーバーダビングしてそそくさと帰って行ったそうです。タイトル曲である『Heroes』は、King Crimsonのライブでカバーされた曲です。King Crimsonがカバーするのは、デビューしたての頃の曲数が少なかった頃以来で、初めてKing Crimsonのライブアルバムである『Heavy ConstruKction』(2000)に収録されていた時は本当に驚きました。Adrian Belew (Guitar)David Bowieのライブに参加したり、次作にも参加した縁もあってカバーされたのかもしれません。現行King Crimsonでも演奏されています。

1、Beauty And The Beast

2、Joe The Lion

3、Heroes

4、Sons Of The Silent Age

5、Blackout

6、V-2 Schneider

7、Sense Of Doubt

8、Moss Garden

9、Neukoln

10、The Secret Life Of Arabia

Lodger (1979)

前作から2年後に発表されたアルバムで、Braian Enoが参加しているためベルリン3部作の最終作と呼ばれています。しかし後半がインストゥルメンタルとなっていた前2作とは違って、David Bowieのポップセンスで作られて、明らかに前2作とは違うアルバムです。前作ではRobert Frippが参加していましたが、今作はAdrian Belewが参加しています。次のアルバム『Scary Monsters (And Super Creeps)』(1980)Braian Enoが参加していないこと、アメリカで作られたことでベルリン3部作には入っていませんが、Robert Frippが参加しておりなかなかの秀作です。

1、Fantastic Voyage

2、African Night Flight

3、Move On

4、Yassassin

5、Red Sails

6、D.J.

7、Look Back In Anger

8、Boys Keep Swinging

9、Repetition

10、Red Money

1. Outside (1995)

その後のDavid Bowie『Let’s Dance』(1983)の大ヒット、Tin Machineの結成と解散、今までの自身の曲を封印するSound And Visionツアーを敢行します。そして次のアルバム『1. Outside』(1995)が発表されます。Braian Enoがプロデュースしています。このアルバムは、猟奇殺人をテーマにコンセプトとされていて、重たく暗い曲がベルリン3部作を思い起こせる作品です。このコンセプトは、全5作の予定で、タイトルの頭に数字がついています。しかしこのアルバムはセールス的には失敗で、次作に用意していた『2. Inside』をお蔵入りにすることを決定して、コンセプト自体無くなってしまいました。このアルバムの『The Hearts Filthy Lesson』は、Brad Pitt主演の猟奇殺人映画、『セブン』のエンディングに採用されました。私はこのアルバムを聴いた時、ベルリン時代のDavid Bowieが帰ってきたと嬉しくなり、来日公演まで行きました。前座が元BOOWY布袋寅泰でした。

1、Leon Takes Us Outside

2、Outside

3、The Hearts Filthy Lesson

4、A Small Plot Of Land

5、Segue – Baby Grace (A Horrid Cassette)

6、Hallo Spaceboy

7、The Motel

8、I Have Not Been To Oxford Town

9、No Control

10、Segue – Algeria Touchshriek

11、The Voyeur Of Utter Destruction (As Beauty)

12、Segue – Ramona A.Stone / I Am With Name

13、Wishful Beginnings

14、We Prick You

15、Segue – Nathan Adler

16、I’m Deranged

17、Thru’ These Architects Eyes

18、Segue – Nathan Adler

19、Strangers When We Meet

David Bowieのアルバムは発売されれば必ず売れる

David Bowieくらいのビッグネームが、アルバムをリリースすれば必ず売れます。その売れ方が爆発的に売れたアルバムは、キャリアの中で数枚しかありません。とにかくものすごく売れたのが『Let’s Dance』(1983)です。その頃はMTV時代でプロモーションビデオが良いと大ヒットしました。Michael Jackson『Thriller』 (1982)がいい例です。

David Bowieのアルバムは、後から評価されて今も尚売れ続けているアルバムも多く存在します。2000年代にアルバムをリリースして、ツアー中に動脈瘤による胸の痛みで入院して残りのツアーはキャンセルしてしまいます。その後活動は消極的になって、ほぼ引退状態になっていました。しかし66歳の誕生日に10年振りに『The Next Day』(2013)を発表しました。私はこのアルバムの発売には狂喜乱舞してしまい、毎日のように聴いていました。アルバム制作は極秘に進められていて、参加メンバーには外部に漏らさない誓約書まだ書かせていたという徹底振りでした。当然メディアからも注目され、大ヒットアルバムとなりました。アルバムジャケットは『Heroes』(1977)のジャケットのタイトル部分を×印で消したものが使われています。次のアルバム、『★ (Black Star)』(2016)が遺作になってしまいました。David Bowieは自らの死期が分かっていたため、収録曲の『Lazarus』はファンへの最後のメッセージを込めた曲になりました。

火星から来たロックスターDavid Bowieは火星に帰って行きました。

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